不動産取引の知識

不動産取引の知識

  • 法的な注意点を中心にご説明しています

1.売主確認の方法

本人契約の場合

  1. 本人の印鑑証明書および実印の照合
  2. 権利証(登記済証)の確認
  3. 売却意思の確認

※共有者がいる場合は共有者全員について確認が必要、相続物件などは注意が必要です。

代理人契約の場合

  1. 本人の委任状(本人の署名および実印の押印のあるもの)および印鑑証明書の照合
  2. 権利証(登記済証)の確認
  3. 代理人の印鑑証明書
  4. 本人の売却意思の確認

2.権利証の確認方法

  • 権利証の最後のページに、法務局の「登記済」のゴム印が押印されています。この中の受付日と受付番号と、登記簿(登録事項証明書)登記受付日、受付番号が一致しているかどうか確認します。

3.告知義務

買主が通常の注意を持って調査を行っても知りえない、かつ、買主が事前に知っていれば売買契約に重大な影響を受けたであろう事柄を、売主があえて告知せずに売買契約を締結した場合、告知義務違反によって白紙解約や損害賠償を請求される恐れがあります。

  1. 自殺・事故等があった物件
  2. 第三者による建築、通行の妨害等
  3. 近隣に暴力団事務所等がある
  4. 隣地の建築計画
  5. 近隣からの騒音・悪臭
  6. 冠水頻発地域
  7. その他

4.抵当権の抹消について

売却物件に設定されている抵当権等の担保権の抹消方法についての事前合意

  1. 取引慣行として、買主の売買代金にて担保権者に弁済を行い、買主への所有権移転登記と合わせて売主の住宅ローンに関する抵当権の抹消登記を行うことが現実には非常に多く行なわれています。
  2. 通常の売買契約書では、抵当権の抹消については売買代金全額支払時までに担保権の抹消が行われることになっていますが、その順序が前後することがあります。
  3. 担保権者によっては自己の事務所以外での弁済を認めないことがあるため、残金の際に担保権者の各事務所に出向く、いわゆる「持ち回り」による残金決済が行われています。
  4. 前項の理由から、契約当事者が希望する場所において残金取引ができない場合があり、売却物件に設定されている担保権の種別と買主が利用する住宅融資によっては、売主が「つなぎ融資」を利用しないと残金取引がスムーズに行えない場合等があるため、担保権の抹消方法および買主の住宅融資の実行条件を契約締結前に確認しておく必要があります。

5.市街化調整区域内の物件

市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」であるため原則として「開発・建築」の各行為は認められません。

都市計画法 34条第11項により建築可能なケースがあります。一部、一定の条件を満たせば、市街化調整区域にも家を建てられる可能性があります。

  • 都市計画法 34条第11項
    市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの

6.敷地面積の最低限度

第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域では、住環境の保護を目的として、建築物の敷地の最低限度(200m2以内)が定められることがあります。(建築基準法第53条の2)

敷地面積が最低限度以上である場合、建築物の建築は可能ですが、将来この最低限度未満となる分割を行った場合は、建築物の建築はできません。ただし、下記に該当する場合は新築建て替え等ができます。

  1. 新しい用途地域になった日(告示の日)時点で、すでに建物が建っている敷地やまだ建物のない所有地などで、分割しないで現況の面積のまま使用する場合。
  2. 公益上必要な建築物の敷地や、敷地の周囲に広い公園、道路、その他の空地がある建築物で特定行政庁の許可を得た場合。

7.マンションの「敷地権」

区分所有法では建物と敷地につき一体不可分の原則を採用し、専有部分を所有する為の敷地に関する権利を、「敷地利用権」としています。(区分所有法第2条第6項)

  • この敷地利用権には所有権、地上権、賃借権、使用借権等があります。これらの敷地利用権につき、「登記した権利であって建物、または付属建物と分離して処分することができないもの」を不動産登記法上、「敷地権」と呼びます。(不動産登記法第91条第2項第4号)
  • この「敷地権」の登記がなされると、専有部分の登記用紙にのみ登記し、この登記がなされると敷地利用権についても同様の登記がなされたものとみなし土地登記簿への登記が省略されます。

8.自己所有地を反復継続的に売却する場合の注意点

  • 宅地および建物の売買(交換)を「不特定多数人」を相手方として反復又は継続して行なう場合、それが社会通念上事業の遂行とみることができる程度に至っている状態であれば、宅地建物取引業者でなければそれを行なうことはできません。

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